製品情報 : ドメイン特化型コンパイラ Goose

ドメイン特化型コンパイラ

#pragma goose parallel for loopcounter(i, j) \ precision("double") for (i = 0; i < n; i++) { for (j = 0; j < n; j++) { for (k = 0; k < 3; k++) { dx[k] = x[j][k] - x[i][k]; } r2 = dx[0] * dx[0] + dx[1] * dx[1] + dx[2] * dx[2] + eps2; rinv = rsqrt(r2); mrinv = m[j] * rinv; mr3inv = mrinv * rinv * rinv; for (k = 0; k < 3; k++) { a[i][k] += mr3inv * dx[k]; } pot[i] -= mrinv; } }

サポートする開発環境

• ソースコード記述言語
  • C
  • (予定): Fortran
• ハードウェアアクセラレータ・アーキテクチャ・フレームワーク
  • 当社 GRAPE-DR
  • AMD 社 GPU
  • NVIDIA 社 GPU
  • (予定): OpenCL、Intel SSE テクノロジ、GRAPE-7
• 数値フォーマット

  	アクセラレータ
  	GRAPE-DR	AMD	NVIDIA
  単精度	-	○	○
  加減算のみ倍精度 (他の演算は単精度)	○	△	○
  倍精度	○	○	○
  4倍精度	△	△	-

  ○:対応済     △:対応予定

製品内容

本製品には以下のものが含まれています。

• Goose C コンパイラ goosecc (ソースコード付属)
• パッケージ概要、ユーザ ガイド、その他のマニュアル類
• サンプルプログラム (goosecc でコンパイル可能なアプリケーションプログラムの例)

動作環境

64 ビット Linux OS (x86_64) 上で動作します (ほとんどの機能は 32 ビット Linux OS でも動作しますが、現時点では GRAPE-DR 向けの機能の一部に 32 ビット OS 上での動作を未確認のものがあります)。

• GNU C コンパイラ (gcc) (version 4.1.0 以降を推奨)
• ruby (version 1.8.5 以降を推奨)
• ATI Stream SDK (version 1.3 以降を推奨)
• CUDA 開発環境 (version 2.1 以降を推奨)
• GRAPE Software Package (grapepkg) (version 1.1.0 以降を推奨)
• 中間言語コンパイラ LSUMP (会津大学中里直人氏開発)
  • インストール方法: LSUMP バイナリパッケージを任意 のディレクトリ内に展開してください。Goose から使用するためには、環境変 数 LSUMPPATH に展開先ディレクトリのパス名を設定する必要があります。 詳細は Goose ソフトウェアパッケージの ユーザガイド を参照し てください。
  • LSUMP バイナリパッケージにソースコード (C++ で記述) は含まれていませんが、 希望される方には無償で配布いたします。詳しくはお問い合わせ下さい。
  • 利用許諾と著作権の所在については、LSUMP バイナリパッケージに含ま れているファイル "00license-j" を参照してください。
• GRAPE-DR 用アセンブラ VSM (国立天文台牧野淳一郎氏開発)
  • インストール方法: 上記リンクから tarball をダウンロードのうえ、任 意のディレクトリ内に展開してください。Goose から使用するためには、環境 変数 VSMPATH に展開先ディレクトリのパス名を設定する必要があります。詳細 は Goose ソフトウェアパッケージ のユーザガイドを参照し てください。
  • 利用許諾と配布条件、著作権の所在については、tarball に含まれてい るファイル "COPYRIGHT" を参照してください。

製品ラインアップ

• Goose Basic Edition (無償): Goose の基本的な機能をまとめたパッケージです。 一部の機能^注1に制限がありますが、無償でご利用頂けます。 利用をご希望のかたはお問い合わせください (info@kfcr.jp)。
• 旧製品

プログラムの記述例

Goose C コンパイラ goosecc でコンパイル可能なアプリケーションプログラムの例を示します。

• gravity: 重力相互作用を計算します
• gravity_cutoff: P³M 法向けカットオフの入った重力相互作用を周期境界条件下で計算します。
• hermite: 重力相互作用と、その時間微分を計算します。
• gravperf: 重力相互作用計算の性能評価を行います。 重力を受ける粒子、及ぼす粒子の粒子数を独立に指定して計算を行います。
• pairwise: 2粒子間に働く重力相互作用計算の精度評価を行います。
• tree: Barnes-Hut ツリー法を用いて重力相互作用を計算します。
• s9: 重力多体シミュレーション を行います (leap-frog 公式、共通時間刻み)。
• s8: 重力多体シミュレーション を行います (4 次の Hermite 公式、独立時間刻み)。
• vdw: ファンデルワールス力を計算します (Lennard-Jones ポテンシャル)。
• sph: SPH 法における粒子への加速度を計算します (Spline カーネル、人工粘性無し)。

実測性能

• ni 個の粒子に nj 個の粒子がおよぼす重力の計算に要した時間を測定。 表中の数値は 1 秒当りに計算された 2 粒子間重力相互作用の数 (Giga interactions per second)。括弧内は相互作用計算に 38 浮動小数点演算を要 すると見なした場合の Gflops 換算値。
• GRAPE-DR, AMD, NVIDIA, CPU 1core, CPU 8cores はそれぞれ KFCR GRAPE-DR model450、AMD Radeon HD 4850、NVIDIA GTX285、 Intel Xeon (E5430/2.66GHz) 1 コア、同 8 コア上での測定値。
• 同一の計算コー ドから各ハードウェア向けの実行ファイルを生成して測定に使用。アクセ ラレータ向けの実行ファイル生成には goosecc を使用。CPU 向けの実行ファイ ル生成には gcc を使用。8 CPU の並列化には OpenMP を使用。
• ^*参考:Goose を使用せずに GRAPE-5 互換ユーザライブラリを用いた場合の重力相互作用演算性能:
  
  

  ni	nj	GRAPE-DR (model2000 1プロセッサ)
  1k	1k	5.05 (192)
  1k	8k	8.58 (326)
  1k	64k	9.39 (357)

演算精度の実測例

• 2粒子間に働く重力相互作用をハードウェアアクセラレータ上で計算し、 ホスト計算機上での計算結果と比較。 横軸は2粒子間の距離rを空間座標の最大値r_maxで正規化した値。 左図の縦軸は誤差の標準偏差、右図の縦軸は誤差の平均。
• 図中の single, double-single, double は goose に与えた精度指定オプション。 順に単精度、加減算のみ倍精度(他の演算は単精度)、倍精度。
• 測定には NVIDIA GTX280 とアプリケーションプログラムpairwise を使用。

生成される中間記述の例

  #pragma goose parallel for loopcounter(i, j) \
                             precision("double") 
    for (i = 0; i < n; i++) {
        for (j = 0; j < n; j++) {
            for (k = 0; k < 3; k++) {
                dx[k] = x[j][k] - x[i][k];
            }
            r2 = dx[0] * dx[0] + dx[1] * dx[1] +
                 dx[2] * dx[2] + eps2;
            rinv = rsqrt(r2);
            mrinv = m[j] * rinv;
            mr3inv = mrinv * rinv * rinv;
            for (k = 0; k < 3; k++) {
                a[i][k] += mr3inv * dx[k];
            }
            pot[i] -= mrinv;      
        }
    }

    loop body
    vlen 4
    bm ccc_reg0 $t
    upassa $ti $lr0v $lm120v
     ....
    fadd $lr16v $lm104v $t 
    upassa $ti $ti $lm104v
    nop
    nop
    fadd $lr24v $lm112v $t 
    upassa $ti $ti $lm112v
    nop
    nop

    whileloop
      sample_resource(7)_sampler(7) r300, r200.xy
      sample_resource(8)_sampler(8) r301, r200.xy
      sample_resource(9)_sampler(9) r302, r200.xy
      ....
    ;; force
    func 0
      ixor r999, r100, l8
      dadd r747.xy, r300.xy, r999.xy
      dadd r747.zw, r300.zw, r999.zw
      ixor r999, r101, l8
      ....

    extern __shared__ char smembuf_[];
    int kbdim_ = blockDim.x;
    f00_jp_t *f00_jp_smem_ = (f00_jp_t *) smembuf_;
    ....
    for (int j_ = jstart_; j_ < jsup_; j_ += jstride_) {
        dx_0_ = f00_jp_smem_[j_].x_j_0_ - f00_ip_[isrc_].x_i_0_;
        dx_1_ = f00_jp_smem_[j_].x_j_1_ - f00_ip_[isrc_].x_i_1_;
        dx_2_ = f00_jp_smem_[j_].x_j_2_ - f00_ip_[isrc_].x_i_2_;
        r2 = dx_0_ * dx_0_ + dx_1_ * dx_1_ + dx_2_ * dx_2_ + eps2;
        rinv = rsqrt(r2);
        ....

旧製品

Goose Personal Edition 標準価格 400,000 円 (税抜)

10 人以内の、比較的小規模な利用者グループ向けの製品です。製品を インストールする PC の台数に制限はありません。

Goose Institutional Edition 標準価格 950,000 円 (税抜)

10 人を超える利用者グループ向けの製品です。製品をインストールする PC の 台数に制限はありません。またお求め頂いたグループ内であれば、利用者数に 制限はありません。

なお 10人を超える規模の組織 (大学や企業など) に所属する場合であっても、 実際の利用者が 10 人以下であれば、Personal Edition をお使い頂けます。

例: 企業の一部署や大学の研究室でご利用になる場合、利用者が 10人以下あれ ば Personal Edition をお使い頂けます。

Personal Edition および Institutional Edition には、 ご購入日より 1 年間の無償バージョンアップサービスと技術サポート (製品利用に際して生じる疑問や問題について、メールにて応対) が付属します。ご購入や製品に関するお問い合わせは info@kfcr.jp まで。

関連情報

• 科学技術計算向け加速ボード GRAPE-DR
• 多体シミュレーション専用計算機 GRAPE-7
• GRAPE ソフトウェアパッケージ

• 注1: Goose Basic Edition には以下の制限があります。
  • マルチデバイス非対応です。つまり、ホスト計算機に複数のハードウェアアクセラレータカードが搭載されている場合でも、1 枚のカードのみを用いて計算を行います。
  • 製品版 (Personal Edition, Institutional Edition) で対応を予定している Fortran、OpenCL、Intel SSE、GRAPE-7 への対応予定はありません。
  • CUDA 4.0 以降のサポートを保証しません。
• お問合せは info@kfcr.jp まで。